相続直前に借入により賃貸物件を取得する節税対策で納税者敗訴

銀行から借入れをし、その借入金で賃貸用不動産を取得することで相続税の負担を軽減するスキームに対し、東京地方裁判所は8月27日、納税者側が採用した相続税評価額ではなく、財産評価基本通達(以下「評価通達」)6項に基づく国税庁長官の指示による評価を認め、納税者の主張を棄却する判断を下しました。
  本件では、被相続人が自己資金と約10億円の銀行借入を原資に、被相続人が営む法人から複数の賃貸用不動産を約13億8,000万円で購入。相続発生後、相続人は本件不動産を評価通達に基づき約3億3,000万円と評価、さらに借入金約10億円を債務控除し、小規模宅地の特例を適用したうえで、相続税をゼロとして申告しました。
  これに対し課税庁側は、本件不動産の評価額を、納税者が申告時に採用した3億3,000万円ではなく、相続時点の鑑定評価額 約12億7,000万円が適正として更正処分を実施。課税庁側は、本件不動産の評価通達の評価額(約3億3,000万円)と売買価額(約13億8,000万円)や鑑定評価額(約12億7,000万円)を比べ、4倍ほど乖離していることを問題視したものです。
  加えて、銀行の貸出稟議書等から、相続税の節税のためにあえて借入及び不動産の購入を企画、実行したものと認められることにも着目したうえで更正処分に至ったようです。

【参考文献・参考URL】
  税務通信(9月2日号)P2~3